平凡だけど特別な。 -7ページ目

お父さんに贈る言葉。

父は23年前、享年44歳で亡くなった。


私がまだ小学生の時のことだ。


お酒を飲んで喧嘩をして、内臓破裂で亡くなった。


友達の飲み屋で、ママが絡まれたのを

助けようとしたのだという。


多数の方々が、通夜に葬儀にと参列してくださった。


正義感の強い人だった。

自分の腕っ節に自信のある人だった。

子供が大好きで、母がいない分

弟たちの保育園の行事には

率先して参加した。


怒る時は恐い人だった。

だけど、怒った後は優しい人だった。


小学生の私が、歩道橋の柱に落書きして

先生に怒られて、泣きながら職場に電話した時は

「もう反省してるなら、パパにまかせろ」と言って

翌日、私が登校する前に、きれいにペンキを塗ってくれてた。


好き嫌いを許してくれなくて、幼稚園だった私が

ピーマンを残したら、それから1週間、毎日食卓に

ピーマン料理が並んだ。


料理が上手だったので、私や弟の遠足や誕生日には

張り切って豪勢なお弁当やご馳走を作ってくれた。


絵を描くことや物を作ることが得意だったので

夏休みの宿題は、父のほうが張り切っていた。


思い出はそうたくさんはない。


覚えている父の顔は、年々セピア色に変わっていく。


だけど、愛されていた思いだけは色褪せることはない。


母に対して、いらないと言うくらいなら産まなきゃよかったのにと

思うことはあっても、その母の分も、父は私たちが生まれたことを

喜んでくれていた。


そして、父が愛した兄姉たちやお友達が、父に代わって私たち姉弟を

たくさんたくさん愛してくれた。


それは、父が遺してくれた一番大切なもの。


私も弟たちも父のことが昔も今も大好きだ。


もしも伝えられるなら、


次に生まれる時もあなたの娘でありたい、と


そう、父に伝えたい。